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11月号 平成15年11月1日発行
 
日本人の心のふるさと、日本家屋の原点「かやぶき屋根」が今、消えつつあります。この「かやぶき屋根」からは、昔の人の様々な知恵を学ぶことができます。私たちは、その知恵を現在の環境に合った家造りに活かすことが必要ですし、皆様にもこのことを知っていただけたらと思います。
 
かやぶき屋根は天然クーラー
 
日本の建物は、昔から夏を涼しく、快適に過ごせるように造られています。

「かやぶき屋根」はその原点であり、その点で最も優れた屋根といえます。
夏の暑い日に、家の前に水を撒くと涼しくなります。これは水で地面を冷やしたばかりでなく、水が蒸発しながら周りの熱を奪っているからです。
「かやぶき屋根」は雨や夜露で得た水分を、あの厚い層にしっかりと、たっぷりと貯えています。気温が上がる日中の時間帯になると、蒸発して周りの熱を奪い、温度を下げているわけです。すばらしい知恵ですね。

いま、東京ではビルを建てるとき、屋上緑化をするようになっています。この屋上緑化が「かやぶき屋根」と同じような働きをします。昔の日本では、冬を暖かくということはあまり考えなかったようです。寒さが違うのかもしれませんが、隣の朝鮮半島で「オンドル」という暖房設備が使われていたのとは対照的です。日本の冬は、囲炉裏を中心にして輪になっていたようですから、綿入れ半纏やドテラのように前ははだけていても背中は暖かい衣服で寒さをしのいでいたようですね。

木造住宅は、虫がつきやすいという短所があります。特に昔の家は隙間だらけですから、彼らは外部からでも好きなように進入できます。「かやぶき屋根」は虫にとって最高の越冬場所のはずですが、囲炉裏で薪を焚き、暖を取る煙で燻し続けられるからたまりません。虫たちは一網打尽です。

このように日常、家中のものが顔を合わせ、団欒し、しかも害虫駆除ができ、家の耐久性を上げることができる。このような家造りや住まい方を現代住宅にどう取り入れていくか、今一度見直し、考えてみたいと思います。
 

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